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作品セツメイ
『 海猿 』『 ブラックジャックによろしく 』など数々の映画、ドラマ化されるほどのクオリティの高いマンガを世に発信された『 佐藤秀峰 』先生の戦時中を舞台にされた作品です。
タイトルを見ても分かる通り、第二次世界大戦末期の特攻兵器の搭乗員の話ですが、特攻隊ではなく回天と呼ばれる人間魚雷の乗組員と、その創案者の物語が話の主になっています。
内容的にはかなり、重たい物語です。
ただ人間の命や戦争というテーマだから話が重たいのではなく、今の時代の人間も共感することが出来る、人間ドラマが重厚なのです。
誰でも特攻隊員の方々や、人間魚雷に乗った隊員の気持ちは共感できるところがあるかと思います。
しかし、忘れられがちな 「 なぜ、特攻兵器を作ったのか? 」 という重要な疑問をマンガ内で問い詰めているのが、他の戦争マンガと違いストーリーを重厚にさせているようです。
2015年、戦後 70年という節目の年において、このマンガを読む意義も意味も十分にあるかと思います。
簡単なアラスジ
太平洋戦争末期。
当時、大東亜戦争と呼ばれた戦争の末期。 米軍の日本本土上陸も目前に迫っていた。
海軍はこの戦況を打破すべく、禁忌とされる“ 必死 ”の兵器を導入することになった。
その兵器の名は
人間魚雷――回天。
従来の敵国の軍艦が、避けてしまえば無意味になってしまう魚雷に“ 生きた人間 ”を乗せることによって、絶対に狙いを外さない、恐るべき兵器になるのだった。
「 俺は何のために生きているんだ? 」
と日々疑問に思っていた青年『 渡辺裕三 』は自分から進んで、人間魚雷回天の搭乗員に志願する。
そして『 特攻の島 』と呼ばれる回天の訓練施設において、人間魚雷回天を生み出した男と出会うことになる。
なぜ、当時の若者は必ず死ぬと分かっている兵器に自分から志願したのか?
いかにして人間魚雷と呼ばれる禁忌の兵器は生まれることになったのか?
実在した特殊兵器と島を舞台に描く。
ここがポイント !
『 海猿 』や『 ブラックジャック 』によろしくに見られるように、緻密な取材をしているからこそ、文字が多いのにも関らず読みやすい。
人間の“ 命 ”という重たいテーマを描いているのにも関らず、そのテーマから逃げようとしない『 佐藤 秀峰先生 』の姿勢は我々物書きを職業とするものですら、見習わなければならないほど。
映画のワンシーンのように、ひとコマ、ひとコマに躍動感があり。 メッセージ性があるのは、さすがとしか言いようがありません。
また、今の時代であれば『 なぜ? 』と疑問に思ってしまう部分も、読み進めることで理解することができる物語の作りは圧巻です。
若い人だけでなく、ややすると自分の命も他人の命も軽く扱ってしまいがちな、中高年にこそ読んで欲しい1冊を、是非。
評価
読めば歴史が分かるでしょう度 ☆☆☆☆☆☆☆☆
戦争の見方が変わるでしょう度 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この記事を書いたライター テラ別府 |